古く変色したしみ
2015.03.14
こちらは黄色に変色したしみを漂白した状態です。地の色も白く抜けてしまっています。これを元の色にもどしてやります。(補正)
当店ではよく、他店で断られたしみの物が来ます。それらの多くはこの古く変色したしみです。洗っただけでは取れなくて色を抜くしかありません。そうすると、色を元にもどす補正という仕事もしなければなりません。
よくこれ以上すると生地が痛むため出来ませんと言われる事が多いようですが、しみを取ったからといって目で見て生地の痛みがわかるような事は殆どないです。それよりしみが付いたまま保管する事の方が生地にとって良くないと思います。しみが取れる取れないは補正ができるか出来ないかの違いになってきます。
一般的に着物は京洗い、生け洗い、丸洗いという洗い方をします。これは水を使用しないで溶剤で洗うドライクリーニングの事です。ドライクリーニングは型が変形しにくく、色移りもなく生地がスレにくい等さまざまな利点があり、着物の形のまま全体を洗う事ができます。ただ、これは洗い手側の利点であり、ドライクリーニングの方がきれいになる訳ではありません。当店でも勿論丸洗い致します。
水性のしみ、汗、食べこぼしは水を使わなければ取れません。 絹は水に濡れた状態では扱いが難しく技術が必要になります。だからといってしみをとる事によって生地が痛むような事は殆どありません。
それより長期間しみがついた状態のままの方が生地が痛む事があるので、早めの処置が大切になります。